雇用保険法改正

 改正雇用保険法が4月1日より施行される予定である。頻繁に改正される法律なので、社労士試験受験のころは集中して覚えた記憶があるが、実務(特に手続き関係)は時々どうだったっけということがあるし、労働者にとっては失業した時のセーフティネットなので厄介な法律でもある。主だったものをあげると

?被保険者の適用拡大 今までは1年以上の雇用見込みだったのが昨年6カ月以上雇用の見込みに変わり、今度は31日以上雇用の見込みに変わる。私の顧問先で多くはないが、従業員の適性を見たいということで短期間の雇用契約を結ぶところもある。しかし、契約期間が31日以上の雇用期間のある契約になると雇用保険の被保険者に該当することになる。
 業務としては手間がかかるので好まないが、それよりこの改正は多くの問題がある。被保険者は増えるが、受給要件の離職日1年間に通算して6カ月以上の被保険者期間(自己都合等の場合)は変わらないため、受給資格を得られないまま離職する労働者が増えることになる。また、保険料は労使折半なので労働者だけでなく企業の負担も増大する。また、短い期間の契約の場合、雇入時に労働者にもよく理解させないと雇用保険料だけ取って失業時に基本手当を受給できないと企業の方が逆恨みされることも考えられる。

?資格取得届の届出漏れの被保険者に対する特例 今までは遡っての資格取得は2年間だったものが、資格取得手続きが行われていない場合で、雇用保険料が給与から天引きされていた時に2年以上の遡りが認められるようになるとのことである。初めて顧問契約するときに、資格取得漏れが見つかる時が稀にある。健康保険と違って、退職するまで気が付かないことが多いのでこれは良い改正である。

?雇用保険料率の変更 本年度のみ、雇用保険料率が引き下げられたがまた元に戻る。高い料率に戻されるので、保険料の計算をすると事業主から一言二言言われてしまう。今年の6月は憂鬱である。1年分の概算保険料なので、ちょっと従業員が多い会社だと延納を行っても結構きつい。

 今月から健康保険・介護保険も保険料率が大幅に上がった。従業員の福利厚生ではあるが、この不景気時ではボディーブローのように後から効いてくる。景気のいい話はなかなか聞こえてこない。