通達:計画停電が実施される場合の労働基準法第26条(休業手当)の取

 厚生労働省は、平成23年3月15日に都道府県労働局労働基準監督課長あてに計画停電が実施された時の休業手当の支払いについての通達(平成23年3月15日基監発0315第1号)を出した。過去に出した通達(昭和26年10月11日基発第696号)に示されたものを踏襲する形で出された。

 休業手当とは、事業主の都合で従業員を休ませる場合は平均賃金の100分の60以上の額を支払わなければならない。これは、賃金で生活している労働者にとって事業主の都合の休業で労務に就けなかった時の最低補償とする考えから作られたものである。

 今回の通達は以下の通りである。

1.計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責に帰するべき事由による休業には該当しないこと。

2.計画停電の時間帯以外の時間帯の休業は、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電が実施される日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業する場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責に帰するべき事由による休業には該当しないこと。

3.計画停電が予定されていたため休業としたが、実際には計画停電が実施されなかった場合については、計画停電の予定、その変更内容やそれが公表された時期を踏まえ、上記1及び2に基づき判断すること。

要約すると
1は、事業場に電力が供給されないと営業できない時間帯は、休業手当を支払う必要はない。

2は、事業場に電力が供給されない時間帯以外も含めて休業する場合は、休業回避のための具体的な努力(例:労働時間や作業時間の変更、勤務シフトの振替※1、勤務地の変更など(業種や業務によって異なる※2)を行った場合は休業手当を支払う必要がない。しかし、この考え方でいくと受注量の減少や生産調整で初めから休業を予定しているケースは該当しない。

3は、計画停電がの実施されない時は、計画停電の予定や変更の公表時期が実施間際だったり、連絡が困難の時間帯だと休業手当の支払いは不要だが、そうでないと支払いが必要になるケースもあるので適宜判断ということである。

※1 法律を厳密に解釈すると、1年単位の変形労働時間制を導入している事業場は、連続労働や休日日数の関係で法的に振替や代休は難しい。この場合、休業手当を支払わなくても時間外割増や休日割増の支払いが生じることも考えられる。

※2 昭和26年10月11日基発第696号によると、『休電による休業については、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないから休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。なお、休電があっても、必ずしも作業を休止する必要のないような作業部門例えば作業現場と直接関係のない事務労働部門の如きについてまで休業することはこの限りではないのであるが、現場が休業することによって、事務労働部門の労働者のみを就業せしめることが企業の経営上著しく不適当と認められるような場合に事務労働部門について作業を休止せしめた場合休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。』としている。
 計画停電で現場の業務ができなくても事務部門が業務できる場合は無理に休業させる場合は休業手当を支払わなければならないケースはあるが、経営上不適当な場合は休業手当を支払わなくても法違反にはならないと解釈できる。

 個々の事業場の事情によって対応は異なると思うが、有給休暇の消化などに充てるというのも一考の余地はあると思う。

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