管理監督者

 日本マクドナルドの店長の時間外労働不払訴訟で、店長に時間外労働分の支払いを命じた判決が出された。

 よく、「課長以上は残業手当が出ない」など言われることがあるが、労働基準法で定めている管理監督者は限りなく役員に近い者を考えている。通達では、実体的に判断すべきもの(昭和29年11月24日基収5722号)であるとされ役職名で判断すべきではないとしている。ただし、都市銀行は具体的に支店長・事務所長や本部の部長等で経営者に直属する組織の長など通達で管理監督者を判断している(昭和52年2月28日基発104号の2)。これは、銀行が横並びでどこの銀行も同様の形態を採っているからとされている。

 原告の店長は、バイトの採用権限はあったものの他は店長としての管理以外にアルバイトと一緒に調理販売や一人残って清掃作業も行っていたそうで月の時間外労働は100時間を超過し休日もない。店長になって、年収が100万円減少したと話している。

 最近の日本の勤労意識で、出世を望まないという声が増えているという。働き方の多様性ということもあろうが、役職に就くということは責任が増し結果として収入が増加するということではないということも一つあるのではないだろうか。収入が労働者のモラール(やる気)の向上に即結びつくものではないが、マクドナルドの方式ではモラールの減退になるのではないだろうか。

 管理職手当や役職手当の支給対象者に時間外手当を支払わないケースは昔からある。それは、それに見合うだけの対価を支払っているという前提があるからである。しかし、新卒者に役職を与え時間外手当を支払わないというようなやり方は明らかに脱法行為ではないだろうか。役職者を増やすことが経費削減(人件費削減)につながるということであれば、誰も役職者になりたがらないだろう。いつから役職者の地位というのは軽くなったのだろうか?