人手不足と会社のモラル

 外食チェーンサイゼリアの一部店舗でアルバイト店員の給与を操作して、親の扶養控除から外れないよう別の店員に支払ったように見せかける操作をしていたことが明らかになった。違法な操作を行った原因は、人手不足でバイトが確保できなかったからという。

 アルバイトが確保できないという話をよく聞く。顧問先でも人手が必要な事業ほど人が集まらないところがあり、折り込み求人広告や求人誌に出しても応募ゼロもしばしばあるという。先日、以前お世話になった知り合いの学習塾の先生に「久しぶりに授業やらない」と誘われた。年間を通して授業できる学生講師が集まらないので、来年はクラスを減らして自分一人でできる範囲にしようかと話していた。最近の学生は短期間だけアルバイトをしたいので、講習会だと人は確保できるとは言っていた。この店舗の店長も何とかしなければと思いやったのだろう。ただ、やり方を見ると誰かが指南したのではないかと思える。

 最近の厚生年金の改ざんの一部は事業主と社会保険事務所の両社で行われたものであると思われる。日本の税制や労働保険、社会保険は自主申告で行われている。不正がないという前提で、時々チェックのため調査が行われる(ただ、税務署は不正が行われているという前提で調査したら何かしらの報告をしなければいけないらしい。労働保険と社会保険はある程度きちんとやっていたら問題なしとしてくれる。雇用保険だけは細かいけれど)。自主申告だからバレなければ何をやってもいいという風潮なのだろうか?もしこのような状況の時、社会保険労務士という立場からきちんと申告させる責務がある。たまに不正になるかどうか聞かれることがあるが、聞かれれば答えるが不正に手を貸すわけにはいかない。

 こういった不正は会社のモラルなのか、個人のモラルの問題なのか?原因は教育の問題なのか?